「京都に住んでいます」と言うと多くの人は、
「良い所ですよね」「うらやましい」などと返事を返してくれます。
そのような会話を繰り返すたびに、京都のイメージとはどのようなものなのだろうかと考えさせられます。
根っからの京都人からしてみれば、観光地だとか文化だとかは生活には関係ないことです。
多くの方が京都を訪れてくださることや、TVや雑誌で京都が取り上げられることは嬉しい事でもあり誇らしいことでもありますが、普段の生活には影響のないことです。
京都で生活するということは、盆地特有の気候に対処するということや、京都人の気質にあわせて生活するということでしょう。
まず、盆地特有の気候です。
夏は暑く、冬は寒い。
そう言ってしまうと大したことないように思えるかもしれません。
北海道、東北地方の寒さや、九州、沖縄地方の暑さを思い浮かべるかもしれません。
しかし、違うのです。
京都の観光シーズンは、桜のきれいな春や、紅葉のきれいな秋に限定されます。
したがって、本当に大変な時期である京都の真冬や真夏を体験したことのない方が多いのではないでしょうか。
私自身、冬の北海道、夏の九州を体験したことがあります。
その経験と比べてみて言えることですが、京都の寒暖と他県のそれとは全く異質のものです。
確かに雪が降れば寒いのです。
京都で北海道のような雪が降ることはありません。
雪が降っても、京都市内で積もることはほとんどありません。
全く異質の寒さなのです。
底冷えと表現されることが多いですが、体の芯から冷える寒さなのです。
たくさん着込んでも、動いても、カイロを貼っても暖まらない、心が凍ってしまうような寒さになります。
夏に関しても同じです。
九州の夏はただひたすら太陽が照りつける暑さです。
確かに暑いですし汗が出るのですが、日陰に入るとひんやりします。
京都の夏は曇っていても暑いのです。
日陰にいても暑いのです。
太陽の暑さだけでなく、アスファルトからの照り返しや熱気、湿気が襲い掛かってきます。
九州や北海道などある程度田舎のほうだと車での移動が多く見られます。
一方、京都では駐車場が無いため多くの人は歩きや自転車やバイクで移動するのです。
暑い日も寒い日も変わりません。
それも京都で暮らしていくと日常なのです。
京都で暮らすには、夏の暑さ、冬の寒さに順応し、対策を講じていく必要があります。
さらに京都の独特な一面として、人々の気質をあげることができます。
京都の人は二重人格だ、腹黒いなどと他県の人から評価を受けることがありますが、間違ってはいないでしょう。
しかし、京都の人はそれを悪口とは受け取りません。
京都の人が特別に腹黒いわけではないのです、京都の人からすると、自分の心のうちをすべてさらけだしてコミュニケーションを取ろうとすることの方が愚かで恥ずかしいことなのです。
京都の人同士だと、含みをもたせた言い方で自分がどう思っているか、
何を求めているかをはっきり言葉にしなくても伝えることが出来、相手もそれを理解することができます。
直球で「これが欲しい」「あれは嫌」と言うことは無作法とされているのです。
やんわりと遠まわしに伝えて、相手もそれを察知する、これが京都での美しいコミュニケーションとされているのです。
京都で生活していくには、京都の人が美しいとしているやり方を理解していく必要があります。
京都に観光に来るだけで「京都は良い所だ」と言われる方がおられます。
他県から京都に引っ越してきて「自分には京都は合わない」と言う人も多くおられるのです。
どちらの場合も京都の本質を分かっているようで分かっていないのかもしれません。
京都でうまく楽しく生活していくために、いくつかのコツをつかめば京都はただの観光地ではなく生活しやすい場所になるはずです。